岡山大学大学院 環境生命科学研究科

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木質材料学分野

木質材料学分野 (Wood-Based Materials)

教員

NAKAMURA Noboru 特任教授:中村 昇 Prof. (Special Appointment) NAKAMURA Noboru
E-mail:noboru_nakamura@(@以下はokayama-u.ac.jp を付けてください。)
専門分野:木材工学/木質材料学/木質構造学

主な研究テーマ

天然材料である木材は、鉄やコンクリートに比べ材質の変動が大きいため、確率論に基づいた高信頼性集成材・LVL・CLTの強度設計とそのためのシミュレーションソフトを開発している。また、木材という材料をベースにし、これまでの発想にない木材接着手法、および高剛性・高耐力木質接合部を開発している。さらに、脱炭素を目指し、解体・リユース・リサイクル・カスケード利用が容易な木質材料・木質構造を開発するとともに、省人化・省エネに優れた木質モジュール工法も開発している。

確率論に基づいた高信頼性集成材・LVL・CLTの強度設計とシミュレーションソフトの開発

 木材は天然材料であるため、鉄やコンクリートに比べ材質の変動が大きい。そこで、板材(ラミナ)や単板(ベニヤ)に加工し、それらのエレメントを積層接着した複合材料にすることにより、強度の変動が少ない、信頼性の高い木質材料にすることができる。また、そのために開発したシミュレーションソフトを実際に企業が使い、日本農林規格(JAS)にない新たなJASを取得し、市販している。

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外層にベイマツ、内層にスギを配置したハイブリッドビーム(中国木材(株))

これまでの発想にない高剛性・高耐力木質接合部の開発

 接合具が木材にめり込んだり、周縁で割裂し易いため、接合部が欠点となる場合が多いため、木質構造のカギは接合部にあると言われる。また、継手(縦継ぎ:繊維方向が同じ)に比べ、仕口(繊維方向が交差)の接合は、接着剤を用いても難しい。そこで、仕口部の加工を工夫し、高剛性で高耐力な木質接合部の開発を目指す。

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加工を工夫し高剛性を実現した仕口接合

解体・リユース・リサイクルが容易な省人化・省エネ木質モジュール工法の開発

 コロナ禍でも建設業は人手不足である。そこで注目されているのがプレファブ化であり、在来軸組構法用の大型パネル、CLTを用いたモジュール(ユニット)工法を開発している。このようなユニット工法は、施工時のビデオフィルムを逆回転するように解体することができ、解体したユニットを工場に搬送すれば分別解体も容易で、部材のリユース・リサイクル・木材のカスケード利用が可能である。また、工場での加工が主であるため、省人化、省エネに優れており、脱炭素に大いに貢献できる。

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断熱材、防水紙、透湿紙、窓、石膏ボード、外壁材を張った大型パネル

最近の主な業績

  • 単板積層材エレメントの強度分布推定手法に関する有効性の検討(第2報)積層効果を含む1plyの強度分布と推定強度分布の比較による検討、小関真琴、中村昇、木材学会誌、第61巻6号、371-378(2015年11月)
  • 木造校舎および事務所の床の鉛直荷重に対する性能と歩行振動に対する感覚評価との関係(第2報)歩行振動の感覚評価による木造大スパン床の設計目標提案の可能性、杉本健一、中村昇、佐野泰之、藤野栄一、新藤智、鎌田貴久、宇京斉一郎、権田将也、木材学会誌、第63巻2号、98-107(2017年3月)
  • Estimation of the internal shear strength distribution of the element for laminated veneer lumber by nonlinear least-squares method, Makoto Koseki, Noboru Nakamura and Shinichiro Naoi, Journal of Wood Science, 64, 635-641(2018年5月)
  • 薬剤処理防火木材の燃焼抑制作用の経年劣化(第2報)水溶性薬剤を用いた薬剤処理木材の屋外における劣化挙動、河原﨑政行、平舘亮一、平林靖、菊地伸一、大宮喜文、李在永、野秋政希、中村昇、木材学会誌、第66巻1号、31-38(2020年1月)
  • 道路交通振動における木造住宅の水平振動の増幅特性、伊奈潔、藤本圭介、中村昇、鎌田貴久、藤野栄一、日本建築学会技術報告集、64、984-989(2020年10月)
  • Estimation of the perpendicular-to-the-grain tensile strength of Scots pine glued laminated timber via three-point bending tests, Shigefumi Okamoto, Nobuhiko Akiyama, Noboru Nakamura, Kenji Aoki and Masahiro Inayama, Journal of Wood Science, 67, 33-43(2021年4月)