進化生態学分野
進化生態学分野 （Evolutionary Ecology）
教員
 |
准教授：岡田 賢祐 Assoc. Prof. Dr. OKADA Kensuke E-mail： okaken@（@以下はcc.okayama-u.ac.jp を付けてください。） 専門分野： 進化生物学 →採択プロジェクトの紹介はこちら |
主な研究テーマ
昆虫を主な研究材料として、対象種の進化・生態の解明に向けた基礎研究を進めている。具体的に、繁殖行動、学習行動や生活史に着目し、その適応的意義を明らかにするために解析を行っている。また、この行動形質を制御する生理メカニズムや遺伝子発現などの至近要因についても分析している。基礎研究だけでなく、当研究室で得た研究成果を害虫防除法の技術開発などに転用することで応用研究への展開を試みている。
昆虫の繁殖戦略
|
動物の繁殖行動は多くの生態学者が注目しており、これまでに繁殖戦略に関する多数の理論が構築されている。そして、構築された理論を証明する多数の実証研究が存在している。当研究室では、これら先行研究を参考に動物の繁殖動態とそのシステムの理解を進めている。具体的には昆虫を研究材料として、求愛行動、分散行動や闘争行動などに焦点を当て、行動解析を行っている。またカブトムシの角など肥大化した形質など、雄の性形質を研究対象として、繁殖行動と関連性を調べている。 |  |
昆虫の学習行動の進化
|
多くの動物で、何らかの資源（餌、場所、配偶者）を他個体と争う行動が観察されている。この闘争行動は以前の経験に基づいて変化する。一般的に、以前の勝利経験は後の戦いの勝率を上げ（勝者効果）、敗北経験は減少させる（敗者効果）。この現象は個々が対戦相手または自身の経験に基づいて行動を変更することで生じると言われており、過去の経験に基づいて行動が改変されるので、学習行動の１つと考えられている。研究材料である甲虫の１種（オオツノコクヌストモドキ）では、敗北経験が雄の行動を相手を排除するための闘争から新しい縄張りを確保するための分散に行動に変えることが明らかとなっている。現在、この学習による行動改変が個体の利益にどのような影響を及ぼすかを調査している |  |
貯穀害虫の繁殖と生活史
|
コクヌストモドキ類やシバンムシ類の甲虫は乾燥食品・薬品の主要害虫として知られており、その分布域は熱帯から温帯の世界中である。工場施設や貯蔵倉庫において、小麦をはじめ、飼料作物、香辛料など広範囲の農作物に大きな被害をもたらす。その被害は時に甚大であり、これまでに様々な防除が確立されているが、未だ改善の余地がある。当研究室では貯穀害虫の防除方法の向上のため、害虫の繁殖・生活史に関する研究を行っている。 |  |
最近の主な業績
- Kiyose K, Katsuki M, Suzaki Y, Okada K 2022 Female remating decisions and mate choice benefits in the beetle Gnatocerus cornutus. Behavioral Ecology and Sociobiology 76:55.
- Suzaki Y, Kodera S, Fujiwara H, Sasaki R, Okada K, Katsuki M 2018. Temperature variations affect postcopulatory but not precopulatory sexual selection in the cigarette beetle. Animal Behaviour 144:115-123.
- Katsuki M, Fujiwara H, Kodera S, Suzaki Y, Sasaki R, Okada K 2017 Relationships between male attractiveness, female remating, and sperm competition in the cigarette beetle. Behavioral Ecology and Sociobiology 71:21.
- Sumida Y, Katsuki M, Okada K, Okayama K, Lewis Z 2017. Wolbachia induces costs to life-history and reproductive traits in the moth, Ephestia kuehniella. Journal of Stored Products Research 71:93-98.
- Okayama K, Katsuki M, Sumida Y, Okada K 2016. Costs and benefits of symbiosis between a bean beetle and Wolbachia. Animal Behaviour 119:19-26.
卒業生・修了生進路
- 大学院進学（岡山大学大学院など）
- 日本学術振興会特別研究員
- 官公庁（岡山県農業研究センター，兵庫県庁，滋賀県農業振興センター，大分県農業研究センター，岡山市役所など）
- 企業（山田養蜂場，山陽新聞社，東洋産業，中国銀行，冨士フレーバー，地熱技術開発株式会社など）