研究テーマ

戦略的計画ツールの開発

廃棄物の戦略的マネジメントの基本ツールとして,1.廃棄物の流れを体系的に把握し,資源保全,環境負荷の低減,費用負担等を考慮した合理的な処理システムの選択を可能とするための,客観的な評価ツールである廃棄物ライフサイクルアセスメント(WLCA)手法の確立を図る(田中,シェクダール)。2.構造材料の選択,設計,施工,供用(維持管理),補修・補強,リサイクル,廃棄の各段階における行為の環境負荷の実態把握を行い,社会基盤のライフサイクルアセスメントの手法を確立する(阪田憲)。3.生活行動マネジメントを通した廃棄物抑制計画の策定では,廃棄物の発生行動に焦点を置いた消費者のマネジメントを計画する(谷口)。4.廃棄物マネジメントの生活への浸透法の手段としてのリスクコミュニケーション手法を開発する(田中)。5.環境経済的手法による循環型経済社会推進のための市場計画を策定する(阿部)。の5つの方法を計画している。以上のツールは,廃棄物の適正処理の確保と共に循環資源が廃棄物にならないための評価や,出さない論理,経済システムに乗る上での論理を展開できる。

安全保障システムの構築

廃廃棄物の減少や,製品そのものの革新を図ったとしても,環境に対するエミッション,製品からの生体へのアベイラビリティは無視し得ない。これらを予防原則的に評価し,安全性を保証することが,製品が市場に流れる重要な条件となる。製品からの有害物質溶出条件と,その成分の生体影響を複数の生物試験とバイオアベイラビリティ試験からなるバッテリーで評価し,早期警戒システムを構築し,要素技術の技術的改善を促すツールを開発する(小野)。また,最終処分場は,このような廃棄物ゼロ社会到来までの緩衝地帯として存在せざるを得ないため,この修復に関する技術開発も重要であり,バイオリメディエーションに関する技術開発を行う(青山)。

要素技術の集積

要素技術の集積は,以下の4つが考えられる。廃棄物減少・適正化のために製品を元に戻すリサイクル,廃棄物を別の製品に転換するインバースマテリアル,廃棄物を消滅させる発想で作られるクリーナリープロダクト,廃棄物を出さない社会システムを考えるデマテリアライゼーションである。1.リサイクル(製品がもとの製品に戻る):リサイクルコンクリートの開発による都市建築廃棄物の激減(綾野),クロム無害化によるリサイクル煉瓦の開発(三浦),2.インバースマテリアル(廃棄物が別の製品に生まれ変わる):バイオマス発電・燃料電池の開発(笹岡),灰・ダストの触媒・電磁波吸収体など浄化材料への転換(三宅),廃プラスチックの油化・ガス化(阪田祐),ヘドロの地盤化(村上),3.クリーナリープロダクト(廃棄物が消滅する):ポリグリコール酸補強剤とポリ乳酸の超低エネルギー重合法開発による完全分解型高性能高分子の開発(木村),フッ素原子含有による高耐久性高分子材料の開発(木村),繊維補強コンクリートの開発(綾野),4.デマテリアライゼーション(廃棄物を出さない社会システム):社会システムと経済構造を変えることで,廃棄物そのものを減少させていく生活システムに変えていくことも考えられる。このシナリオに移行する場合におこるWLCA的な効果と,経済効果に関する考察を展開(阿部,谷口)する。

人材の養成

環型社会の構築を目指して,廃棄物の合理的な処理を行うことを可能にする評価ツールを開発する。また排出抑制,再利用,リサイクルの技術や,廃棄物の適正処理の向上及び不適正処分地の修復にかかわる技術の開発を行い,廃棄物を戦略的にマネジメントするための技術をサポートする。従って,このような分野で活躍できる研究者や技術者を養成する。

環境容量創生センターを先端研究施設の一つとして設置し,そこには短期間の「実務専修課程」を設ける。産業廃棄物処理技術など,実務に直結した技術を教育するコースを設け,国際(特にアジア地域)・国内の廃棄物管理及び環境技術評価の専門家の養成を図る。具体的には収集運搬,中間処理,最終処分,リスク管理,リサイクル技術等のコースを設けて,教育研修のカリキュラムの開発,教材を作成,遠隔地教育のプログラムを開発する。一方,環境総合大学院(廃棄物学専攻)では留学生・実務技術者を対象とした一年間のディプロマコース「専門課程」,さらにもう一年の「研究課程」を並立し,研究者育成を図る。特に修士課程カリキュラムでは,廃棄物学教育のための体系的な教科書を刊行し,廃棄物学教育を充実させる。

博士課程では,高度な科学的知見に基づいて,環境への負荷や経済性を考慮して,廃棄物問題を解決する能力を身に付けさせる。また,博士課程学生のためには,TAおよびRAのポストを現在の2倍に増員する。博士課程修了者のためには,COEポスドクfellowshipを新設し,研究に専念できる環境の整備を図る。

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