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動物遺伝育種学分野 (Animal Breeding and Genetics)

教員

Takayuki_IBI 准教授 :揖斐 隆之 Assoc. Prof. Dr. IBI Takayuki
E-mail:ibi-t@ (@以下はokayama-u.ac.jp を付けてください。)
専門分野: 動物育種学
家畜における遺伝現象の解明,量的形質における遺伝的改良方法の研究

主な研究テーマ

 動物遺伝育種学の特徴は,環境効果などによって判別が困難な遺伝現象を統計解析や分子遺伝学的手法を用いて把握するという点です。このことによって,集団の遺伝的構成や個体の遺伝的特性を正確に推定することが可能となり,効率的な育種改良を行うことが出来ます。具体的な研究テーマとしては,子牛の強健性に関する遺伝性の解明,繁殖性に関する遺伝性の解明,集団の遺伝的多様性に関する研究,QTL解析理論に関する研究などを行っていきます。また本分野では,量的形質に関する解析手法を駆使できるポストゲノム時代に不可欠な人材を育成しています。

子牛の強健性に関する遺伝性の研究

 黒毛和種はわが国を代表する肉用牛であり,肉質が良いことが知られています。生まれた子牛は通常,子牛市場で販売されますが,中には病気などにより死亡する子牛がいます。子牛の死亡は繁殖農家にとって大きな経済的損失にもかかわらず,その形質が体重などの量的形質と異なり,生か死かの閾値形質と呼ばれる性質であるため,分析が遅れてきた。近年のコンピューター技術の発達などによりこのような閾値形質に対する遺伝的パラメータの推定が可能となったため,この遺伝的特性について解明を行う。

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繁殖性に関する遺伝性の研究

 近年,黒毛和種は肉質,特に脂肪交雑(筋肉内に脂肪が入る現象)の点で大きく育種改良が行われており,大きな成果をあげている。しかしながらその反面,繁殖性が低下している恐れが出てきている。繁殖性は和牛の生産においてとても重要であり,これまで初産月齢,受胎率,分娩間隔といった形質が取り上げられてきた。が近年,4歳時子牛生産指数という指数が考案された。この指数は4歳を超えて初めて迎えた分娩までに出産した頭数を4歳時点に換算した値であり,初産月齢や分娩間隔が総合的に判断できる指数である。4歳時子牛生産指数をはじめとした繁殖性に関して遺伝的特性について解明を行い,他機関と共同で分子遺伝学的解析まで実施する。


遺伝的多様性の維持に関する研究

 前述のように黒毛和種では遺伝的改良が行われており,大きな成果をあげている。しかしながらその反面,能力の優れた特定の雄牛に人気が集中し,その子どもが集団の多数を占めるようになるなど,集団の遺伝的多様性の低下が懸念されている。遺伝的多様性の低下は,前述の繁殖性の低下や奇形などの不良劣性遺伝子の発現を引き起こすことが知られている。また将来,新たな選抜目標が出てきた場合,選抜改良が難しくなることも懸念される。そこで他機関と共同で遺伝子マーカーを遺伝的多様性の指標として用いた遺伝的多様性を維持した育種計画の研究を行う。

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最近の主な業績

  • Ibi,T., Kahi, A. K., and Hirooka, H., (2015) Genetic parameters of postnatal mortality and birth weight in Japanese Black calves. Animal Science Journal, 86, 25-30.
  • Sasaki, S., Ibi, T., Matsuhashi, T., Takeda, K., Ikeda, S., Sugimoto, M., and Sugimoto, Y., (2015) Genetic variants in the upstream region of activin receptor IIA are associated with female fertility in Japanese Black cattle. BMC Genetics , 16, 123-136.
  • 米田一裕・奥田ゆう・斯琴図雅・西牧孝洋・松本大和・宮崎義之・揖斐隆之・辻岳人・国枝哲夫.(2016).岡山県固有の黒毛和種希少系統の遺伝学的特徴の解析.日本畜産学会報. 87:1-10.
  • Takahiro NISHIMAKI, Takayuki IBI, SIQINTUYA, Naohiko KOBAYASHI, Tamako MATSUHASHI, Takayuki AKIYAMA, Emi YOSHIDA, Kazumi IMAI, Mayu MATSUI, Keiichi UEMURA, Hisayoshi ETO, Naoto WATANABE, Tatsuo FUJITA, Yosuke SAITO, Tomohiko KOMATSU, Hiroshi HOSHIBA, Hideyuki MANNEN, Shinji SASAZAKI and Tetsuo KUNIEDA.(2016).Allelic frequencies and association with carcass traits of six genes in local subpopulations of Japanese Black cattle.Animal Science Journal 87, 469–476
  • Sasaki S, Ibi T, Akiyama T, Fukushima M, Sugimoto Y.(2016) .Loss of maternal ANNEXIN A10 via a 34-kb deleted-type copy number variation is associated with embryonic mortality in Japanese Black cattle.BMC Genomics 17: 968
  • Paul RC, Okuda Y, Nguyen TB, Le TNA, Ibi T, Kawamoto Y, Nozawa K, Kunieda T.(2019).Genotype distribution and allele frequencies of the genes associated with reproductive traits and hereditary disorders in Japanese native horses. J. Anim Genet. 47, 29-36.
  • S. Sasaki T. Ibi.(2021). A genome‐wide association study reveals a quantitative trait locus for calf mortality on chromosome 9 in Japanese Black cattle. Animal GeneticsVolume 52, Issue 2 p. 214-216

卒業生・修了生進路

  • 公務員(倉敷市、鹿児島県、群馬県)、大塚製薬、アルファネット、東京海上日動、食品会社、シンクタンク

収穫祭ポスター

動物遺伝育種学ユニットポスター2013年