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生命の源、光合成の足場づくり~「足場=チラコイド膜」を守り光合成を高めるしくみを明らかに~

2021年06月24日


◆発表のポイント

  • 光合成で、光エネルギーの転換反応は「チラコイド膜」という膜の上で起こります。
  • その、光合成の足場ともいえるチラコイド膜を維持する分子機構について、今回、VIPP1と呼ばれるタンパク質の超分子構造が日本とドイツの国際共同研究により解明されました。
  • 長らく謎とされたチラコイド膜を作る分子の役割が明らかになり、今後、光合成の効率を高めるなど、植物や藻類をバイオ素材とする技術への貢献が期待されます。

 岡山大学資源植物科学研究所・光環境適応研究グループの坂本亘教授と大西紀和非常勤研究員は、ヘルムホルツ研究所、カイザースラウテルン工科大学、などドイツのグループと共同で、光合成の光エネルギー転換反応が起こる「チラコイド膜」を維持するVIPP1と呼ばれるタンパク質分子が作る微細な構造を、世界で初めて明らかにしました。
 光合成は、生命が光からのエネルギー使うことができる唯一の反応で、地球環境や衣食住に欠かせない重要な反応です。この反応は、シアノバクテリア[2]や藻類、植物だけが持つ「チラコイド膜」という袋状の膜の中で起こります。ここが光合成の足場といえますが、この特徴ある膜ができるしくみは、長らく謎とされていました。今回、VIPP1と呼ばれるタンパク質の構造を明らかにし、この膜を維持して光合成を高める作用もあることを突き止めました。生命の源、光合成の理解が進むとともに、バイオ素材の効率的な生産など脱炭素社会への貢献が期待されます。
 この研究成果は6月23日(アメリカ東部時間)、米国の国際科学誌「セル (Cell)」のArticleとして掲載されました。

◆研究者からのひとこと

 光合成は、光を利用して水と二酸化炭素を原料に有機物やエネルギーを作る、私たちの生活に欠かせない驚くほど精巧な反応です。また、光合成の研究は、人工光合成やバイオ素材の開発など、脱炭素社会によりSDGsに貢献するテーマです。
 ちなみに、葉っぱが緑に見えるのは、チラコイド膜があるからで、ここから地球上の酸素が作られているんですね。

坂本教授

■論文情報
論文名:Structural basis for VIPP1 oligomerization and maintenance of thylakoid membrane integrity

掲載紙:Cell
著 者:Tilak Kumar Gupta, Sven Klumpe, Karin Gries, Steffen Heinz, Wojciech Wietrzynski, Norikazu Ohnishi, Justus Niemeyer, Benjamin Spaniol, Miroslava Schaffer, Anna Rast, Matthias Ostermeier, Mike Strauss, Jürgen M. Plitzko, Wolfgang Baumeister, Till Rudack, Wataru Sakamoto, Jörg Nickelsen, Jan M. Schuller, Michael Schroda, Benjamin D. Engel
DOI:10.1016/j.cell.2021.1.05.011

<詳しい研究内容について>
生命の源、光合成の足場づくり~「足場=チラコイド膜」を守り光合成を高めるしくみを明らかに~

<お問い合わせ>
岡山大学資源植物科学研究所
光環境適応研究グループ
教授 坂本 亘
(電話番号)086-434-1206
(HP) https://www.rib.okayama-u.ac.jp/