岡山大学大学院 環境生命科学研究科

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農村計画学

農村計画学分野 (Rural Planning)

教員

kuki 教授 :九鬼 康彰 Prof. KUKI Yasuaki
E-mail:yakuki69@(@以下はokayama-u.ac.jp を付けてください。)
専門分野:農村計画学,コミュニティ計画
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主な研究テーマ

 現在,日本を含め東アジア諸国の農村では過疎や高齢化,遊休農地の増加,そして獣害の深刻化といった地域環境の持続可能性に関連する問題に直面しています。私たちの研究室では地域の問題解決を図るための「計画」という手段に注目し,それを活用した制度の効果や運用方法のあり方,その歴史とパラダイムシフトについて考察するとともに,さまざまなスケールにおける計画づくりとその実践に携わりながら農村地域の将来像を模索しています。

集落~小学校区を圏域とする住民主導型の計画理論の構築

 わが国の農村地域では近年,住民自らが計画づくりや地域づくりに乗り出している例が各地にみられるようになりました。本研究ではこうした集落を範囲とする動きに焦点をあて,従来の行政が主導する形と比べて何が違うのか,どういう特徴がみられるのかを明らかにしようとしています。これによりわが国の農村地域特有の計画理論を構築することができ,今後の地域づくりの指針として役立てることが期待できます。br />

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計画論的視点に基づく獣害対策の構築に関する研究

 わが国の農村地域ではシカやイノシシ,サルといった野生動物による農作物被害が深刻化しています。本研究では農地保全や地域社会の維持につながる効果的な獣害対策を計画的に行う手法を構築するために,被害地域の住民や行政担当者等の関係者の意識を調べて課題を明確にする他,集落レベルでの調査から効果的な対策の技術的要件を検討し,市町村レベルでの獣害対策の取り組み方を提案するとともにそれらの実践による検証を行っています。

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遊休農地の解消に向けた取り組みの評価と必要条件の解明

 農家の高齢化や後継ぎの不在等が原因となって,耕作放棄されていた農地を再び耕作しようとする動きが全国各地で見られます。食料生産という人間に欠かせない機能を有する「農」への関心が高まる中,本研究では都市住民をはじめとするさまざまな活動主体,彼らが取り組むさまざまな耕作放棄地の活用内容の調査を通して,このような取り組みが持つ波及効果や取り組みに必要なソフト・ハード両面における条件の解明を目指しています。

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最近の主な業績

  • 九鬼康彰:コミュニティ計画(渡邉紹裕ら編『農村地域計画学』所収),朝倉書店,東京,166-178,2020.
  • 九鬼康彰・青木 茜・武山絵美:サルの集落ぐるみの追い払いを阻害する物理的要因と改善策,農業農村工学会誌,86(5),3-6,2018.
  • 九鬼康彰:獣害対策から考える山との向き合い方(日本農学会編『山の農学-「山の日」から考える』所収),養賢堂,東京,69-86,2017.
  • 九鬼康彰・武山絵美:『獣害対策の設計・計画手法-人と野生動物の共生を目指して』,農林統計出版,東京,135p,2014.
  • Li-Pei Peng, Yasuaki Kuki, Shizuka Hashimoto, Yeu-Sheng Hsieh: Institutional capacity and rural community planning in Japan - an event history analysis, Paddy and Water Environment, 12(1), 55-69,2014.
  • 九鬼康彰・武山絵美・東口阿希子:獣害対策としての金網フェンスに対する農家の維持管理意識―和歌山県有田郡有田川町K地区を事例に―,農業農村工学会論文集,286,27-35,2013.
  • Emi Takeyama, Mitsuteru Ohno, Yasuaki Kuki: Spatial and environmental characteristics of hunting areas along forest-farmland buffer zones - A case study of a hunting group with guns and hounds in a suburban area in Ehime Prefecture, Japan, Irrigation, Drainage and Rural Engineering Journal, 284, 63-69, 2013.
  • 王 忠融・九鬼康彰・星野 敏・橋本 禅:地域住民を対象とするむらづくり人材育成事業の実態と特徴―台湾の農村再生条例における培根計画を事例として―,農村計画学会誌,Vol.31論文特集号,291-296,2012.
  • 東口阿希子・九鬼康彰・武山絵美・星野 敏・橋本 禅:山村における獣害対策の集落間連携評価手法の開発-和歌山県東牟婁郡古座川町を事例に-,農村計画学会誌,Vol.30論文特集号,387-392,2011.
  • 九鬼康彰・星野 敏・橋本 禅・三宅康成:集落計画書の作成に及ぼす計画策定支援体の影響―神戸市の里づくり計画を事例として―,農村計画学会誌,Vol.29論文特集号,317-322,2010.

修了生の進路

  • 公務員(都道府県・市町村),民間企業,大学院(海外)