岡山大学大学院 環境生命科学研究科

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建築計画学分野

建築計画学分野 (Architecture and Urban Spatial Planning)

教員

堀先生 准教授:堀 裕典 Assoc. Prof. HORI Hirofumi
E-mail:hirofumihori@(@以下はokayama-u.ac.jp を付けてください。)
専門分野:建築都市空間計画、建築都市デザイン政策、建築景観、エリアマネジメント
パク先生 助教(特任):パク ミンジョン Asst. Prof. PARK MIN JEONG
E-mail:mjpark@(@以下はokayama-u.ac.jp を付けてください。)
専門分野:建築計画

主な研究テーマ

良好なストックとしての「住まい」を前世代から「生きた住まい」として後世に受け継ぎ、残すための仕組み、地区に残された文化やコミュニティ及び地区の特色を継承し、かつ、それらをどういかしていくか、新規開発をどのように誘導するべきかということを念頭に置きながら研究を進めています。これまで、個別建築のデザインコントロール手法に関する研究から建築計画・計画史および都市空間の計画に関する研究に至るまで、国内外を問わず、建築に関わる歴史、計画・法制度とその運用を中心に研究を行っています。

北米諸都市における裁量的建築デザイン審査に関する研究(堀准教授)

 北米における持続可能なインフィル型の建築更新の実態と開発協議プロセスにおける住民参加のあり方とそれによって生まれる実際の住環境に関する分析を行っています。特に、都心部の個別建築物更新事例に着目し、事前確定的な基準(ゾーニング等)と裁量的開発協議のバランスを視点として、コミュニティの要望やキャラクターに応じた住環境・景観はいかに成し遂げられるかということについて、実際のネイバーフッドミーティングやデザイン審査公聴会などの議事録や図面の変化等から効果的な枠組みや手法等を検討しています。主な対象地はシアトル、トロント、マイアミなどです。

建築デザイン審査前後でのスケッチの変化
建築デザイン審査前後でのスケッチ変化

歴史的建築物保全にむけた容積移転制度とその運用に関する研究(堀准教授)

 日本の都心部において多くの歴史的建築物が取り壊され、地区の特性に合わない開発が行われています。日本では用途地域の緩さや多くの容積ボーナス制度の存在等の課題があり、効果的な容積移転制度のあり方が問われています。本研究では、歴史的建築物保全の観点からバンクーバー市の容積移転制度の運用実態を明らにしました。その結果、容積移転制度を効果的に運用するための要素として、厳しいゾーニング、裁量的な開発審査システム、容積緩和を可能とするリゾーニング制度などが条件としてあげられました。

曳家により保全された歴史的建造物
曳家により保全された歴史的建造物

エリアマネジメントに関する研究(堀准教授)

 エリアマネジメントは、近年、着目されてきている空間利用活動の一つです。住民・事業者・地権者などが、様々な組織を作り、イベントの開催等自主的に地域の活性化やエリアの清掃・美化、防犯活動などを行っています。今後は防災・減災や知的創造空間(シェアオフィスや勉強会などの利用空間)の創出などの活動が期待されています。これまで、関連研究としては、海外[アメリカ、イギリス、ドイツ]のBID(Business Improvement District)や観光系組織である、DMO(Destination Management/Marketing Organization)およびTID(Tourism Improvement District)などの研究を行っています。

ブリストルBID地区内の水辺空間
ブリストルBID地区内の水辺空間

近代建築の歴史的変遷と保存に関する研究(朴特任助教)

 どんな建築も建てられた当時は私たちの日常を支える器ですが、いつ誰がどのような目的でどのように使用したかによって、文化財のように時代を超えて受け継がれるものもあれば、担った役割を終え解体されてしまうものもあります。今とは違う歴史的背景を持つ近代建築の多くはその岐路にたっています。その一例として、ハンセン病療養所をあげることができます。瀬戸内市にある長島愛生園を対象に、残された建物を通して約90年にわたり築きあげられた生活文化を読み取るなど、日々蓄積されていく建物の中で次世代に何を伝えるかを考える研究をしています。

長島愛生園 回春寮
長島愛生園 回春寮

最近の主な業績

    【堀准教授】
  • 堀裕典、海外都市の魅力を支えるBIDとエリアマネジメント、まちの価値を高めるエリアマネジメント、 pp.83-102、小林重敬・森記念財団編著、学芸出版社、2018年6月(著書・分担執筆)
  • 堀 裕典、村山 顕人、小泉 秀樹、バンクーバー市都心部における容積移転制度を活用した開発手法とその運用 -既存の開発許可プロセスを通じた歴史的建造物容積バンクからのボーナス取得-、都市計画論文集、日本都市計画学会、52-3号、pp.617-623、2017
  • 堀裕典、米国ポートランド市におけるTIDを活用した都市プロモーション活動に関する考察」, 2017年度日本建築学会大会学術講演梗概集, 日本建築学会, pp.117-118, 2017
  • 堀裕典、「マイアミ市旧条例11000におけるデザインレビュー制度とガイドラインの考察」, 2015年度日本建築学会大会学術講演・建築デザイン発表梗概集F-1, 日本建築学会, pp.827-829, 2015
  • 堀裕典、「カナダ主要都市における都市計画法制度とデザインレビュー」, 2014年度日本建築学会大会学術講演・建築デザイン発表梗概集F-1, 日本建築学会, pp.25-26, 2014
  • 堀裕典, 小泉秀樹, 「アメリカ合衆国におけるデザインレビュー制度の類型化とその考察」, 2013年度日本建築学会大会学術講演・建築デザイン発表梗概集F-1, 日本建築学会, pp.985-986, 2013
  • 堀 裕典、田中 暁子、カナダ諸都市の一般市街地における裁量的開発審査に関する研究 - 良好な住環境の保全・創出のための新しい協議制度の探求 -、住総研研究論文集、 住総研、 No.40号、 pp.83-94、2013
  • 堀 裕典、私有地における容積規制緩和制度を持つシアトル市樹木保全条例とその運用、ランドスケープ研究、日本造園学会、73号5巻, pp.737-740、2010
  • 堀 裕典、小泉秀樹、大方潤一郎、バンクーバー市における容積移転制度の運用実態について -都心における歴史的建築物保全の視点から-、都市計画論文集、日本都市計画学会、45-1号、pp.39-44、2010
  • 野澤 千絵、堀 裕典、独自の開発基準を定めたまちづくり条例による宅地開発誘導の効果と課題 -国分寺市まちづくり条例を対象に-、都市計画論文集、日本都市計画学会、43号、pp.373-378、2008
  • 佐藤 貴彦、堀 裕典、小泉 秀樹、大方 潤一郎、景観法下の建築物規制の運用実態と課題 -景観計画に基づく届出制度に着目して-、都市計画論文集、日本都市計画学会、43号、pp.217-222、2008
  • 堀 裕典、小泉 秀樹、大方 潤一郎、シアトル市デザインレビュー制度運用の実態と課題~建物ボリュームコントロールの視点から~、都市計画論文集、日本都市計画学会、42号、pp.241-246、2007
  • 【朴特任助教】
  • PARK, M. and OTSUKI, T.:The Influence of Changes in Social Context on the Role and Form of Special Facility in Modern Architecture: Nagashima-Aiseien, the National Hansen’s Disease Sanatorium in Japan. Journal of Sustainable Urbanization and Regeneration Selected Papers from IASUR Conference 2019, 10pages (2019)
  • パクミンジョン・大月敏雄:国立ハンセン病療養所長島愛生園日出地区における居住施設利用の変遷. 日本建築学会大会学術講演梗概集(東北), 1267-1268 (2018).
  • パクミンジョン・石川尭子・大月敏雄.:ハンセン病療養所における寄付住宅の成立に関する研究-長島愛生園「十坪住宅」を中心に-. 日本建築学会住宅系報告会論文集 12. 257-264 (2017).

卒業生・修了生の進路