岡山大学大学院 環境生命科学研究科

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地盤・地下水学分野

地盤・地下水学分野 (Geotechnical and Groundwater Engineering)

教員

TAKESHITA Yuji 教授 :竹下 祐二 Prof. TAKESHITA Yuji
E-mail:yujitake@(@以下はcc.okayama-u.ac.jp を付けてください。)
専門分野: 地盤工学
Mitsuru_KOMATSU 教授 :小松 満 Prof. KOMATSU Mitsuru
E-mail:mkomatsu@(@以下はokayama-u.ac.jp を付けてください。)
専門分野: 地盤工学・地下水工学

主な研究テーマ

 次世代の社会基盤を安全で経済的に構築し,維持管理していくためには,人と地球環境との調和を考えた地盤環境の創造が必要です。そのために,地盤調査,原位置試験,室内土質試験,そして数値シミュレーションなどの方法により,地盤や地下水の環境状態をシンプルでコンパクトに計測・評価する技術を開発しています。地盤や土構造物の浸透特性値と力学特性値を精度良く把握することで,地盤災害を軽減し,未来を指向した地盤環境づくりに貢献していきます。
 また、地盤の浸透特性の調査法や地盤環境保全の予測解析手法の開発を通じて地下水の挙動を定量的に評価することで,斜面及び土構造物の安定問題や建設工事における地下水問題に加え,土壌・地下水汚染や放射性廃棄物処分等の地盤環境問題や地中熱利用等のエネルギー問題の解決に取り組んでいます。

シンプルでコンパクトな地盤調査・原位置試験方法の開発

 土砂災害の多くは,地盤の不飽和領域で生じているため,不飽和土に対する土質試験や地盤調査を実施して,不飽和状態での地盤工学特性を計測し,災害時の地盤挙動を定量的に評価することが必要である。そのために,①シンプルでコンパクトな試験装置によるローカルスケールでの原位置試験,②地表面からの非破壊計測方法を用いたフィールドスケールでの地盤調査を提案し,防災上重要な不飽和土構造物である河川堤防や斜面・盛土の安全性照査実務へ貢献する。

研究テーマ1

地中レーダによる地盤状態の非破壊調査

河川堤防の浸透に対する安全性評価のためのモニタリング方法と数値モデリング方法の開発

 河川堤防における浸透に対する安全性を精度良く評価し,河川堤防の浸透対策を適切に設計・施工する実務への貢献を目的として,河川堤防内の浸透挙動による土中水分動態や間隙水圧のモニタリング方法およびこれらの現地計測データを飽和・不飽和浸透流解析によって忠実に再現できるシミュレーションモデルの構築方法の開発を行う。

研究テーマ2

河川堤防での挿入型センサーの設置

不飽和土構造物のせん断強度・変形特性の評価

 降雨による不飽和状態の土構造物(斜面,堤防,盛土など)においての地盤災害を防止と軽減のため,崩壊メカニズムを解明する研究を行っている。不飽和状態にある土構造物が降雨浸透により飽和化され,崩壊に至る過程での地盤状態と共に現地状態を再現した拘束応力状態,土構造物の変形モードに合わせて不飽和土の室内せん断試験を行い,土構造物のせん断強度・変形特性を評価する。

研究テーマ3

三軸圧縮試験装置

土のせん断挙動の数値シミュレーション

 砂質土のせん断挙動や水浸時の体積圧縮現象に対して3次元個別要素法による数値シミュレーションを実施し,粒子レベルの挙動の検討を行っている。一般的に地盤の強度特性を求める室内試験では,供試体内部の土の粒子レベルの強度や変位などの情報の測定は不可能である。そこで,3次元DEMシミュレーションを行い,土のせん断挙動を調べる。この研究は,粒状材料としての土の力学特性をミクロレベルで解明しようとするものであり,地盤力学分野において今後の発展が期待されている研究対象である。

研究テーマ4

一面せん断試験に関するDEMシミュレーションの例

安心で安全な地盤材料づくり

 日本古来の伝統的な左官技術として旧家の玄関や土間に施工されていた「たたき工法(土に消石灰および「にがり」(MgCl2・6H2O)や黒炭を添加して練り混ぜ,十分に締め固める施工方法)」に着想を得て,熱エネルギーを使わない石灰系微粉体による常温固化技術を用いた地盤材料の開発を行う。天然の地盤材料には見られない付加価値と環境保全に係わる機能を有し,長期間の使用に耐えた後,自然に帰る環境にやさしい地盤づくりを行う。

研究テーマ5

薄板状に圧縮成形した「たたき土」

キャピラリー・バリア盛土の表面被覆層としての疎水材層の適用性評価

 疎水性をもつ土(疎水材,hydrophobic soil)を用いて,不飽和土構造物である河川堤防や斜面などの浸透に対して,長期的に高度な雨水遮断機能と排水機能をもつキャピラリー・バリア(CB)地盤材料としての適用可能性を検証する。よって,不飽和土構造物の安全性を向上させるために,新たな地盤材料である疎水材を用いて新しいCBを提案する。疎水材の適用性を評価するため,保水性試験および室内強度試験を行い,模型実験や数値解析を実施する。

研究テーマ6

疎水材を用いたキャピラリー・バリアシステム

センサーネットワークを利用した水分計測による豪雨時の斜面崩壊予知に関する研究

 近年,ゲリラ豪雨などの異常気象により斜面の崩壊や河川堤防の決壊などが多発しているが,これらの災害から人命や財産を守るためには,地盤と地下水の状態を調べることが重要である。そこで,最新のセンサー技術や情報ネットワークシステムを活用した土砂災害発生の警報・解除を行うシステムの開発に取り組んでおり,一部の自治体では実際に運用を開始している。

研究テーマ7

最近の主な業績

  • 竹下 祐二, 諏訪 隼人, 森井 俊広. 2007. 不飽和砂質土地盤におけるヒステリシス現象を考慮した浸透特性値の原位置試験方法,土木学会論文集(部門C),Vol.63 No.4, pp.1153-1162.
  • 竹下 祐二, 大山 孝政, 迫野 涼, 田村 二郎. 2008. たたき土の力学的特性に関する実験的考察,地盤工学会中国支部論文報告集, Vol.26, No.1, pp.71-76.
  • 竹下 祐二, 森上 慎也, 森田 周三, 黒田 清一郎, 井上 光弘. 2009. 地中レーダを用いた砂質土地盤における不飽和浸透挙動の非破壊計測,土木学会論文集 (部門C),Vol.65,No.4, pp.943-950.
  • Kim, B.S., Shibuya, S., Park, S.W., and Kato, S. 2013. Suction stress and its application on unsaturated direct shear test under constant volume condition. Engineering Geology, Vol. 155, pp. 10-18.
  • Kim, B.S., Park, S.W., and Kato, S. 2014. DEM simulation on deformation mode and stress state for specimen shape in direct shear test. International Journal of Computational Methods, Vol. 11, No. 2, pp. 1342004-1~18.
  • 竹下 祐二, 金 秉洙, 森井 俊広. 2015. プレッシャーインフィルトロメーターを用いた現場飽和透水係数の測定方法に関する考察,地盤工学会中国支部論文報告集, Vol.33, No.1, pp.181-186.
  • 竹下祐二. 2015. 不飽和地盤における透水係数の原位置計測方法,技術手帳,地盤工学会誌,Vol.63, No.8, pp.61-62.
  • 金 秉洙,加藤 正司,Seong-Wan PARK,竹下 祐二. 2015. 不飽和状態の親・疎水性砂のせん断挙動に及ぼすメニスカス水の影響, 地盤工学ジャーナル, Vol. 10, No. 2, pp. 267-276.
  • 金秉洙,加藤正司,Seong-Wan PARK,竹下祐二. 2016. DEMシミュレーションによる一面せん断試験の隙間幅に関する検討, 地盤工学ジャーナル, Vol.11, No.1, pp. 21-31.
  • Kim, B.S., Park, S.W., Takeshita, Y., and Kato, S. 2016. Effect of suction stress on the critical state of compacted silty soils under low confining pressure. International Journal of Geomechanics, ASCE, D4016010-1-11.
  • 小松満:ベントナイト系材料に関する室内透水試験の一例,第60回地盤工学シンポジウム発表論文集,No.2-2,pp.29-32,2016.
  • 小松満・竹下祐二・二川雅登・不破泰・鈴木彦文・熊倉信行・吉野晃:河川堤防の法面における遠隔水分量モニタリングに向けた実証研究,地盤工学会中国支部論文報告集「地盤と建設」,Vol.33,No.1,pp.169-174,2015.
  • 二川雅登・小松満・鈴木彦文・竹下祐二・不破泰・澤田和明:小型ECセンサを用いた斜面崩壊予測センサの開発,電気学会論文誌E(センサ・マイクロマシン部門誌),Vol.133,No.9,pp.278-283,DOI: 10.1541/ieejsmas.133.278, 2013.
  • 小松満・西垣誠・瀬尾昭治・戸井田克・田岸宏孝・竹延千良・山本陽一:原位置土中水分計測による浅地層における降雨浸透量の評価方法,地下水地盤環境に関するシンポジウム2011-水環境の保全と育水-発表論文集,pp.17-26,2011.
  • Sakaki, T., C. C. Frippiat, M. Komatsu, and T. H. Illangasekare : On the value of lithofacies data for improving groundwater flow model accuracy in a three-dimensional laboratory-scale synthetic aquifer, Water Resour. Res., 45, W11404, doi:10.1029/2008WR007229, 2009.

修了生の進路

  • 進学: 岡山大学大学院,大阪大学大学院
  • 公務員: 国土交通省,岡山県や他県の土木職,岡山県,岡山市や他市の土木職
  • 企業: 建設(清水建設,鹿島建設,大林組など),コンサルタント(地盤調査,測量設計など)
  • 運輸:JR西日本, 西日本高速道路(NEXCO)
  • エネルギー: 中国電力,四国電力など