岡山大学大学院 環境生命科学研究科

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環境統計学分野

環境統計学分野 (Environmental Statistics)

教員

SAKAMOTO_Wataru 教授 :坂本 亘 Prof. SAKAMOTO Wataru
E-mail:w-sakamoto@(@以下はokayama-u.ac.jp を付けてください。)
専門分野: 統計科学(計算統計学,医学統計学)

主な研究テーマ

 統計データ科学は科学的根拠に基づいて客観的な見方を提示する最も有効な手段を提供します. 例えば,感染症などの健康問題や環境問題を解決するには,科学的根拠を提示した上で,冷静な議論を行うことが必要です. 新たな治療法や医薬品・ワクチンの開発では,臨床試験を通じて有効性・安全性を慎重に確認しなければなりません. 飛躍的に向上する計算機の性能を活かしながら, 統計データ科学の研究を通じて,環境・生命科学をはじめとする現代社会の諸問題の解決に役立ちたいと考えています.

環境・生命科学のデータを解析するための統計モデル構築と統計計算の研究

 環境・生命科学で観測される複雑な現象を解析するための統計モデル(罰則付きスプライン回帰モデル,混合効果モデル,マルコフ確率場モデルなど)や,最適な統計モデルを選択するための方法・基準などを研究しています.例えば,回帰関数の推定値,選択基準などを効率良く計算するにはどうすればよいか,さらに提案した計算手法が統計的に良い性能をもっているかなどを調べています.

環境統計学写真1

ドイツの口腔がんの推定相対発生リスク:INLA法 (Rue et al., 2009) を用いた.

「個に基づく医療」のための統計手法の研究

 人間や動物を対象とする研究では,性別,年齢,体格・体質などの個体ごとに異なる背景因子が,観測される応答(生死,疾患,薬効など)に複雑に影響します.よって,集団を対象とする(個体差を無視した)旧来の解析方法には限界があります. 私たちは,背景因子を考慮に入れたり,個体ごとの特徴を明示したりすることができるような,「個に基づく医療」に寄与すると考えられる統計手法の研究を行っています.

最近の主な業績

  • 加茂憲一・福井敬祐・坂本亘・ 伊藤ゆり (2021). がん対策立案・評価における意思決定に寄与するマイクロシミュレーションの構築:大腸がんを事例に. 計量生物学, 41(2), 93-115.
  • Sakamoto, W. (2019). Inference on variance components near boundary in linear mixed effect models. Wiley Interdisciplinary Reviews: Computational Statistics 11(6)
  • Sakamoto, W. (2019). Bias‐reduced marginal Akaike information criteria based on a Monte Carlo method for linear mixed‐effects models. Scandinavian Journal of Statistics 46(1) 87 - 115.
  • 坂本 亘・井筒理人・白旗慎吾 (2008). 罰則付きスプラインによる非線形回帰構造の推測. 計算機統計学,21(1-2), 55-94.
  • 坂本 亘・五十川直樹・後藤昌司 (2008). 日本の「メタボリック・シンドローム」診断基準の統計的問題. 行動計量学, 35(2), 177-192.

修了生の進路

  • 企業:アイテック阪急阪神,JR西日本ITソリューションズ,東都システムズ,NECソリューションイノベータ,エターナルプレザーブ,日立インダストリアルプロダクツ,キーウォーカー
  • 教員:岡山県(高校数学)