岡山大学大学院 環境生命科学研究科

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コンクリート構造設計学分野

コンクリート構造設計学分野 (Design of Concrete Structures)

教員

Toshiki_AYANO 教 授 :綾野 克紀 Prof. AYANO Toshiki
E-mail:toshiki@(@以下はcc.okayama-u.ac.jp を付けてください。)
専門分野: コンクリート工学
Takashi FUJII 准教授 :藤井 隆史 Assoc. Prof. FUJII Takashi
E-mail:t-fujii@(@以下はcc.okayama-u.ac.jp を付けてください。)
専門分野: コンクリート工学

主な研究テーマ

 物質文明の恩恵を享受し,人々の生活は,著しく便利で快適になりました。物質文明を支える社会基盤の礎を築くのがコンクリートです。しかし,コンクリートで構造物を造る行為,あるいは,コンクリートそのものを造る行為は,間違いなく自然環境を破壊する行為です。マイカーを持ちたい,外国にも旅行したい,水洗トイレ,テレビ,クーラーのある生活を送りたい,でも自然環境も護りたい。持続的な発展が可能な社会を目指すということは,人類のこの矛盾に答えを見つけることかもしれません。本研究室では,コンクリートを視点に,持続可能な社会を目指すためになすべきことを考えます。

超耐久性コンクリートを用いたプレキャスト部材の製品化

 凍結防止剤を散布する寒冷地における道路橋では,活荷重の増加,凍結融解作用などによって,鉄筋コンクリート床版の土砂化が生じており,大規模な修繕や更新が必要とされている。供用中の高速道路等で劣化が顕在化した部材を取替える大規模メンテナンス工事において,『交通規制の短縮』・『確実な施工』・『改修による耐久性向上』を実現するプレキャスト製品の開発を行う。凍結防止剤が散布され,防水層が機能しなくなったとしても,従来のコンクリート部材より,凍結融解作用にも,荷重の繰返し作用にも,格段に抵抗性の高い製品を提供する。

写真1

実構造物の乾燥収縮予測

 コンクリートの乾燥収縮は,コンクリート中からの水分の逸散によって生じ,その経時変化は構造物の周辺の温度,湿度等の環境条件,結合材や骨材等の使用材料の種類,コンクリートの配合および部材断面の形状寸法の影響を受ける。したがって,構造物中のコンクリートの収縮を算定するためには,コンクリート中の水分移動解析に基づき各部材のコンクリートの収縮を求めることが望ましい。しかし,コンクリート部材を棒部材と仮定し,コンクリートの収縮によって生じる変形を,平面保持の仮定が成り立つと仮定し簡易的に求める一般的な設計においては,水分移動解析に基づき各部材のコンクリートの収縮を求めることは,現実的ではない。そこで本研究室では,小さな供試体を用いて実構造物に生じる乾燥収縮を予測する手法の検討を行っている。

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硫酸劣化の著しい下水道施設に適用が期待されるコンクリート

 下水道施設など,バクテリアの作用によって硫酸が生成される環境下においては,設計で想定した供用期間よりも早期にコンクリート構造物が劣化している。本研究室で開発した硫酸に強いコンクリートは,主原料に鉄を製錬するときに発生するスラグを用いることで,普通のコンクリートに対して6倍の耐久性を持つものである。岡山県の水島地区でも多く発生している鉄鋼スラグの量は,全国で年間約3,800万トンで,家庭ゴミの量に匹敵している。本技術は,資源循環と構造物の長寿命化を両立させる技術として注目されている。

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最近の主な業績

  • 藤井隆史,堀水紀,藤原斉,綾野克紀:高炉スラグを用いたコンクリートの中性化,塩化物イオン浸透性および電気抵抗性に関する研究,コンクリート構造物の補修,補強,アップグレード論文報告集,Vol. 16,pp. 195-200,2016. 10
  • Takashi Fujii, Atsuhiko Sugita and Toshiki Ayano: Improvement of Durability of Concrete by Granulated Blast Furnace Slag Sand, Proceedings of SCMT4, D164, 2016.8
  • Toshiki Ayano, Takashi Fujii, Katunori Takahashi, Kyoji Niitani, Kazuyoshi Hosotani, PRACTICAL APPLICATION OF PRECAST CONCRETE MEMBER WITH SUPER-HIGH DURABILITY CONCRETE, EASEC-14, the fourteenth East Asia - Pacific Conference on Structural Engineering and Construction, pp.338-345, 2016.1
  • 綾野克紀,藤井隆史:コンクリートの乾燥収縮ひずみの最終値に養生時の温度履歴が与える影響,土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造),Vol. 70,No. 4,pp. 428-440,2014. 12
  • 綾野克紀,藤井隆史:高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートの凍結融解抵抗性に関する研究,土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造),Vol. 70,No. 4,pp. 417-427,2014. 12
  • Paweena Jariyathitipong, Kazuyoshi Hosotani, Takashi Fujii and Toshiki Ayano: Sulfuric Acid Resistance of Concrete with Blast Furnace Slag Fine Aggregate, Journal of Civil Engineering and Architecture, Vol. 8, No. 11, pp.1403-1413,2014.11
  • 綾野克紀,藤井隆史,平喜彦:コンクリートの乾燥収縮ひずみの予測に関する研究,土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造),Vol. 69,No. 4,pp. 421-437,2013. 12
  • 小林仁,先本勉,藤井隆史,綾野克紀,宮川豊章:乾燥収縮ひずみにより変状が生じた構造物と拡散理論に基づく乾燥収縮解析,土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造),Vol. 69,No. 4,pp. 390-401,2013. 11
  • 小林仁,先本勉,藤井隆史,綾野克紀,宮川豊章:乾燥収縮ひずみに与える部材寸法の影響,土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造),Vol. 69,No. 4,pp. 377-389,2013. 11
  • Paweena JARIYATHITIPONG,細谷多慶,藤井隆史,綾野克紀:高炉スラグ細骨材によるコンクリートの耐硫酸性改善に関する研究,土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造),Vol. 69,No. 4,pp.337-347,2013. 10

修了生の進路

  • ゼネコン(清水建設,大林組,大本組,ピーエス三菱,オリエンタル白石など)
  • コンサルタント(オリエンタルコンサルタント,日本工営など)
  • 発注者(NEXCO西日本,首都高速道路,岡山市などの土木系職員)
  • メーカー(住友大阪セメント,太平洋セメントなど)