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環境安全学分野 (Risk Management in Sustainable Society)

教員

永禮先生 准教授 :永禮 英明 Assoc. Prof. NAGARE Hideaki
E-mail:nagare-h@ (@以下はcc.okayama-u.ac.jp を付けてください。)
専門分野: 水環境工学

主な研究テーマ

 増加を続ける世界人口を支えるため,より多くの食料と,肥料としてのリンが必要です。しかし,リンの資源量には限りがあります。その一方,リンは湖沼などにおいて水質汚濁を引き起こす原因ともなっており,食料を生産しながら環境汚染を引き起こさないよう,流域においてリンを効率的に使用・管理することが必要です。当研究室では,これを実現するための技術を中心に,水処理・水環境保全に関する研究を行っています。

リンの回収・再利用技術

 使い終わったリンを回収し,再利用するための技術です。これまでに下水,植物バイオマスから70%以上のリンを回収する方法を確立しました。下水等に含まれていたリンはリン酸カルシウムの沈殿として回収し,肥料として利用することで食料の再生産につなげることができます。


資源回収型の新しい下水処理プロセスの開発

 現在の下水処理技術ではエネルギーとお金を投入して,下水に含まれる汚濁物質を分解・分離しています。また,病院等から流入してくる抗生物質が原因となり,下水処理場内で抗生物質耐性菌が増殖することが指摘されています。我々は,下水に含まれる成分を回収・資源化し,抗生物質耐性菌や,その他の化学物質による汚染の心配のない21世紀にふさわしい,新しい下水処理法を開発しようとしています。


畜産排水の処理技術

 畜産製品(乳製品,肉等)の生産過程で出される排水が水環境保全上の問題となる場合があります。畜産系の排水はそれぞれの農家において処理することになるため,自治体が管理・運営する下水処理以上に安価で維持管理が容易な処理技術が必要です。当研究室では,排水に含まれる有価物の回収,排水成分を使った有価物の生産をキーワードに,新たな処理技術について研究しています。


最近の主な業績

  • 永禮英明, 渡辺諒, 藤原拓, 赤尾聡史, 前田守弘, 2016. 大型水生植物からのリン回収. 土木学会論文集G(環境) 72 (8), III_249-III_254.
  • 永禮英明. 流域でのリン管理の必要性 -滋賀県を例に-. 第19回日本水環境学会シンポジウム. Sept. 13-15, 2016. 秋田市.
  • 永禮英明. アスタキサンチン生産をともなう新たな下水処理プロセスの開発. 第53回下水道研究発表会. July 26-28, 2016. 名古屋市.
  • 野村洋平, 永禮英明, 南方大輔, 深堀修史, 藤原拓, 水野忠雄, 西村文武. 塩基性条件下におけるイオン液体1-butyl-3-methylimidazolium chlorideのオゾン処理複生成物の分析. 第49回日本水環境学会年会. March 16-18, 2015. 金沢市.
  • 永禮英明, Huynh, T.N.C., 佐藤博紀, 小松寬卓. 抗生物質流入に対応した下水処理プロセスの開発. 第11回水環境フォーラム in 岡山. July 4, 2015. 岡山市.
  • 永禮英明, Huynh, T.N.C., 佐藤博紀. 藻類培養のためのキトサンによる下水凝集処理. 第49回日本水環境学会年会. March 16-18, 2015. 金沢市.
  • 永禮英明. 滋賀県におけるリンのフロー. 第37回 京都大学環境衛生工学研究会シンポジウム. 7.31-8.1. 京都市.
  • 永禮英明, 2015. リン酸カルシウム沈殿生成による養豚場放流水の水質改善と溶解平衡計算. 土木学会論文集G(環境) 71 (7), III_323-III_328.
  • Sato, H., Nagare, H., Huynh, T.N., Komatsu, H., 2015. Development of a new wastewater treatment process for resource recovery of carotenoids. Water Sci. Technol. 72 (7), 1191-1197.
  • Nagare, H., Sato, H., Komatsu, T., Huynh, T.N.C. Astaxanthin production from wastewater by Haematococcus pluvialis. 1st IWA Resource Recovery Conference. 29 August-2 September, 2015. Ghent, Belgium.
  • 岩田匠, 永禮英明, 前田守弘, 衣斐理子, 藤原拓, 山根信三, 安武大輔, 赤尾聡史, 深堀秀史. リン酸マグネシウムカリウムの熱力学的物性値と生成条件の検討. 第48回日本水環境学会年会. March 17-19, 2014. 仙台市.
  • Nomura, Y., Nagare, H., Mizuno, T., Fujiwara, T., Nishimura, F., Minakata, D. Ozonation of ionic liquid 1-butyl-3-methylimidazolium chloride under basic condition. 248th ACS National Meeting. August 10-14, 2014. San Francisco, U.S.A.
  • Nagare, H., Iwata, T., Ebi, A., Fujiwara, T., Akao, S., Maeda, M., Yasutake, D., Yamane, S. Recovery of Phosphorus and Potassium from Corn Biomass as a Magnesium Salt 9th IWA International Symposium on Waste Management Problems in Agro-Industries. 24-26 November, 2014. Kochi, Japan.

修了生の進路

  • 公務員(水道・下水道関係含),コンサルタント,水処理メーカーなど